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麻酔科

更新日:2021年10月28日

麻酔科の紹介

常勤医師 1名(適宜、非常勤麻酔科医師も主に群馬大学麻酔科から派遣あり)

麻酔科医師の仕事は主に以下の2つになります。

.ペインクリニック外来

.手術麻酔

詳細につきましては下部に記載します。

外来の情報につきましては、毎月更新される→外来診療担当医師表をご覧ください。

医師の紹介

浅野医師

 

氏  名

浅野 克則(あさの かつのり)

役  職 麻酔科医長
所  属  科 麻酔科(手術麻酔全般、ペインクリニック)
卒業大学 旭川医科大学 平成4年3月卒
経  歴

平成4年 佐久総合病院研修医

平成6年 佐久総合病院麻酔科

平成12年 NTT関東病院ペインクリニック科

平成15年 佐久総合病院麻酔科医長

平成17年 四谷メディカルキューブ麻酔科部長

平成21年 軽井沢病院麻酔科医長

所属学会 麻酔科学会、臨床麻酔学会、ペインクリニック学会、日本登山医学会
取得資格

麻酔科学会指導医、ペインクリニック学会専門医、専門医機構麻酔科専門医

著  書 麻酔のHOW TO診断編(克誠堂2001年、共著)、ペインクリニック診断・治療ガイド第5版(日本医事新報社2013年)、ESSE《2008年2月号)ココロとカラダのクリニック(監修)、毎日らいふ《2007年8月号》こころとからだの相談室・帯状疱疹
趣  味 山歩き、マラソン、温泉
ひとこと 午前中はペインクリニック外来、午後は手術の麻酔担当医として働いています。ペインクリニック外来は、持続する痛みや不快感に対して神経ブロックやさまざまな薬剤を使用し、痛みの緩和や日常生活満足度の向上を目指します。手術麻酔は、手術中の患者さんの身体に加わるストレスをできるだけ少なくし、安全に手術が行われるように麻酔薬の投与や各種モニターによる監視を行っています。

浅野医師注射

  1.ペインクリニック外来について

  ペインクリニックって何をするところ?

 ペインクリニックは、痛みの治療を専門とする診療科です。ペインとは、「痛み」のことで、クリニックには、「診察室」という意味があります。さまざまな痛みを取り除く、あるいは軽減するために医師が患者さんを診ているのが、ペインクリニックです。

 痛みの治療以外にも、神経ブロックという方法を利用して、顔面神経まひや顔面けいれんの治療などもおこなっています。

 

 どんな痛みを治療するのかな?

(1)急性の痛みは原因となる疾患の治療が大切

 痛みは誰でも体験します。痛みは、短期的には肉体の損傷から命を守るための大切な働きになります。例えば、交通事故に遭って、脚を骨折したとき、もし痛みを感じなかったら、そのまま歩こうとして、却って骨折を悪化させてしまいます。身体の安静を保持させるために骨折時の痛みは必要なのです。また、胃潰瘍で胃に穴があいたとき、腹痛を感じなかったとしたら、おなかの中に炎症が広がり、高熱を出して命を落としてしまいます。腹痛が起こることで、病院に行き、検査・治療が可能になるわけです。以上の2つの例は、急性の痛みです。

 これらの例では痛みの治療よりも疾患そのもの(つまりこの場合は、骨折や胃にあいた穴の治療)が優先されます。ですからあまりペインクリニックの出番はありません(もちろん各科の医師が治療とともに痛みへの対応をおこないます)。

 

(2)慢性の痛みこそペインクリニックの出番です

 一方で、長く続く慢性の痛みもあります。さまざまな慢性の痛みも、身体を守るという役割はあるものの、却って痛みにより生活の質が低下することがあります。

 例えば、腰が変形し、腰の痛みがある場合、その腰痛は労働をやめて休みなさいという身体からのシグナルではあるものの、現代の生活ではそうそう休んでばかりもいられません。むしろ腰の痛みが続くことで、痛みそのものが、日常生活上の負担になってしまいます。

 このような慢性の痛みを緩和させるのがペインクリニックの主な役割になります。

  

 ペインクリニックで取り扱う主な疾患を以下にまとめます。

 

 ペインクリニックで扱う主な疾患

   1.   頭や顔:慢性の頭痛、三叉神経痛、顔面神経まひ、顔面けいれん

   2.   肩・上肢:肩の痛み、頚肩腕症候群、上肢血行障害

   3.   胸背部:開胸術後痛 、肋間神経痛

   4.   腹部:悪性腫瘍の痛み

   5.   腰背部:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、腰椎圧迫骨折

   6.   下肢:坐骨神経痛、下肢血行障害、幻肢痛

   7.   その他:帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、脳卒中後の痛み、原因不明の慢性痛

 

  痛みの原因はさまざまであり、ペインニックでも単に治療だけでなく、原因を明らかにするための検査もおこないます。主な検査は、レントゲン撮影、MRI、採血などです。

 ペインクリニックの治療方法

  治療方法は、神経ブロック治療、薬物治療、手術治療の3つに分けられます。

 

(1) 神経ブロック治療

 痛みの原因になっている神経の近くに針を刺して、薬剤を注入して痛みを取り除く方法です。

 針は採血する時よりも細いものを使用します。薬剤としては、局所麻酔薬やステロイド剤など使用します。局所麻酔薬はふつう1時間ほどで切れてしまいますが、そのあとも痛みない状態にするのがペインクリニックの真骨頂です。その原理は図1に示します。

 神経ブロックは、外来でできるものが多いです。レントゲンで見ながら行なうものや、ブロック後の経過観察のために入院が必要なものもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) 薬物治療

 炎症を伴う痛みには、消炎鎮痛薬を使用します。慢性の痛みには、ある種の抗うつ薬や抗けいれん薬が有効性を示すことが多く、副作用に注意しながら少量ずつ使用していきます。

 また、血流改善のための薬剤の点滴や漢方薬を併用することもあります。がんによる痛みには、麻薬も使用します。

 

 (3)手術治療

 当院のペインクリニックでは、手術治療として、脊椎圧迫骨折に対する椎体骨穿孔術や慢性難治性疼痛に対する硬膜外刺激電極挿入術を行っています。椎体骨穿孔術は、圧迫骨折を起こした脊椎骨に針を刺入し、骨髄液を一部抜いて内圧を下げ、椎体の安定化と除痛を図るものです。

 最低4日間の入院が必要になります。また硬膜外刺激電極挿入術は背部から脊髄近くに電気の流れるコードを挿入して、脊髄に弱い電流を流して長引く痛みを緩和させる方法です。2~3週間の入院が必要になります。

 ペインクリニックで扱う主要な疾患とその治療方法

(1) 慢性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛)

 片頭痛は、脈打つような頭痛、緊張型頭痛は頭が締め付けられる感じの頭痛で肩こりも伴うことが多いです。片頭痛は、トリプタン系というタイプの薬剤が治療の中心になっています。

 70%くらいの患者さんで有効です。緊張型の頭痛は、肩から後頭部の圧痛点(指で押してズーンと痛く感じるところ)へのブロック注射をします。頚部の交感神経ブロック(星状神経節ブロックと云います)も有効です。

 

(2) 三叉神経痛

 三叉神経痛は、顔の鋭く短い激痛が特徴です。痛みの出る部位は、おでこ、ほっぺた、くちびる、舌とさまざまです。脳の下で顔の知覚神経である三叉神経が血管に圧迫されておこります。

 治療は、カルバマゼピンという抗けいれん薬の内服が中心です。内服で効果がない場合や、内服薬によって副作用が出る場合には、手術か神経ブロックが適応になります。手術は、三叉神経と血管の接触を離すもので、脳神経外科でおこないます。一方、ブロック治療は、麻酔科のペインクリニック医が行ないます。具体的なブロック内容は、痛みの出る顔の部位によって異なるものの、いずれも三叉神経の一部に、特殊な針と機器で70~90℃の熱を加えて神経を麻痺させてしまう方法が主流です。この方法は痛みだけでなく、触った感じも鈍くなってしまうことが欠点です。このブロックは1回で数カ月~2年くらい有効です。

 

(3) 顔面神経まひ

 顔の筋肉を動かすための顔面神経がある種のウイルスによって炎症をきたしてまひが生じるケースが多いことがわかってきました。治療の中心は神経の炎症を取るためのステロイド薬の使用です。

 内服や点滴で使用します。抗ウイルス薬や血流改善薬を使用することもあります。

 血流改善のために頚部の交感神経ブロックも併用します。まひを残さないためには、できるだけ早く医療機関にかかり、これらの治療を早期から開始することが大切です。

 

(4) 顔面けいれん

 顔面神経が脳の下で血管に圧迫されて、異常信号を顔の筋肉に送るようになって生じる病気です。

 自分の意志とは無関係にまぶたや口が動いてしまいます。治療は、三叉神経痛のときと同じように神経と血管を離す手術を脳外科でしてもらうのが一つです。頭のMRI検査で圧迫がはっきりしない場合や、高齢者で手術の危険が高い場合には、神経と筋肉の連絡を遮断してしまうボツリヌス毒素(商品名ボトックス)の注射を顔の筋肉に対して行います。1回で3~4か月有効です。ボツリヌス毒素といってもごく少量なので問題はありません。

 

(5) 帯状疱疹とその後の神経痛

 体内に潜んでいた水ぼうそうのウイルスが神経に沿って増殖しておこります。一般的には、身体の片側のある一部に痛みが生じ、数日して赤く水泡を伴う発疹が出てきます。夜も眠れないくらいの辛い痛みになることもあります。できる部位は頭のてっぺんから足の裏や陰部までさまざまです。治療は、抗ウイルス薬と消炎鎮痛薬の内服、症状が強い時には、神経ブロックによる血流改善・除痛です。できるだけ早く医療機関を受診し、治療を開始することが重要です。高齢者ほど痛みが遷延し、神経痛(帯状疱疹後神経痛)が残ることがわかっています。この神経痛は、完治が難しく厄介です。

 

(6) 加齢にともなう腰下肢痛

 腰の骨や関節の変形、腰の軟骨である椎間板の変性や飛び出し(ヘルニア)、あるいは腰の筋肉の緊張等、さまざまな原因でおこります。変形が腰の細かい神経を圧迫したり、下肢にいく坐骨神経の根元を圧迫したりして、症状が出ます。局所麻酔薬を使用した硬膜外ブロックという腰への注射で痛みの悪循環(図1参照)を断ち切ることが治療の中心になります。下肢の筋力低下が強い場合は神経の圧迫が重度であることを示しており、手術適応になることもあります。

 

(7) 脊柱管狭窄症

 前記の腰下肢痛の症状に加えて、長い距離が歩けなくなるといった症状が出てきます。

 ちょっと休むとまた歩けます。腰の曲がった歩き方になってきます。背骨(脊椎)の中での神経の圧迫が原因です。MRI検査をすれば大体診断できます。日常生活に支障をきたすほどの歩行障害や排尿・排便の障害を伴うケースでは手術が必要です。軽度であれば、腰の血流改善薬の使用や硬膜外ブロックで対応します。

 

(8) 下肢血行障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病など)

 血流改善目的に硬膜外ブロックや腰の交感神経ブロックをします。血管拡張のための点滴も適応になります。

 

(9)外傷後の慢性痛

 これは、難治のことが多いです。細かい神経の損傷と長期間の痛みによって脳内に変化が起こることが原因とされています。神経ブロックは効果が一過性のことが多く、薬物治療が中心になります。

 

(10)その他

 帯状疱疹予防のための水痘ワクチン接種も実施しています。帯状疱疹原因ウイルスである水痘のワクチンを接種して、免疫力を強化するのが目的です。これで完全帯状疱疹にならないわけではありません。60歳以上を対象とした米国のデータでは、接種によって帯状疱疹の発症率が51%減少し、帯状疱疹後神経痛への移行も67%減少したとされています。こちらは予防医療にあたるので自費診療になります。 

ペインクリニックの現状

 痛みのしくみは完全にはわかっていません。また、痛みの強さは個人差が大きいのも特徴です。

 なかなか良くならない痛みもたくさんあります。そんな患者さんとは、一緒に悩みながら試行錯誤でさまざまな治療を試しているというのが現状です。これからも次々に新しい治療方法や治療薬が開発されていくはずです。それらを上手に患者さんに提供できるように努力していきたいと思っています。

  

2.手術麻酔について

 全身麻酔

 手術施行時に、意識を取り除くだけでなく、痛み刺激(麻酔中、意識はなくても痛み刺激は交感神経を興奮させて脳にとってストレスとなります)をとること、血圧や脈拍を安定させること、低酸素にならないように酸素を投与し人工呼吸や補助呼吸を行うこと、手術を施行しやすくするために筋弛緩を得ること・・・などが全身麻酔中の麻酔科医の仕事になります。そのために各種モニター(心電図、酸素飽和度モニター、二酸化炭素モニター、体温計、筋弛緩モニターなど)を利用しつつ、薬剤の適切な投与を行います。さらに、ガス麻酔薬の投与や気道の閉塞を防止するために挿管チューブを気管に留置するのも麻酔科医の役割です。

 また、術前検査結果(採血、心電図、心臓エコー、呼吸機能検査など)や常用薬、既往歴などをチェックして、その患者さんにもっとも適した安全な麻酔方法を検討することも麻酔科医の重要な仕事です。  

硬膜外麻酔、神経ブロック

 全身麻酔だけでは麻酔からの覚醒とともに痛みが発生してしまうことが多いです。全身麻酔と併用する形で、硬膜外麻酔や神経ブロックを施行します。

 硬膜外麻酔では、背部~腰部にカテーテルを留置して、術後も鎮痛のための薬剤が少しずつ投与れるようにします。神経ブロックでは、作用時間の長い局所麻酔薬を投与して、手術終了直後の強い痛みを緩和します。

  腰椎麻酔

 全身状態の悪い患者さん、特に呼吸状態の悪い高齢の下肢骨折の患者さんで用いることが多い麻酔方法です。短時間の手術や外科や整形外科の先生だけで行う手術(麻酔科医の関与しない手術)でもよく利用されます。腰に針を刺して、1回だけ薬剤を注入して、下半身を一過性に麻痺せて手術を施行します。術後数時間、下肢の麻痺が続きます。若い人では術後に悪心や嘔吐、頭痛が発生しやすい麻酔です。

浅野医師 診療

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